本日のニュースでどうしても気になったので吐露します。
私は旧司法試験の受験生時代から疑問を持っていた。
ロースクールを作って、法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)の人数を増やすのはいいが、増加人数にあった受け入れ体制はあるのか?マーケットはあるのかと?
しかし、そこは、さすがに優秀な官僚や弁護士会が十分に調査・分析・検討済みだろうと。
ところが、ロースクール誕生から数年。
多額の借金とリスクを背負いながらロースクールを卒業し、新司法試験を合格したものの、なんと司法修習生のうちの4割もが就職できない状況に今置かれているという。
これは異常事態である。
明らかにニーズと供給が合っていないのだ。
これは自助努力の域ではない。
そもそも、きちんとマーケット調査をしたのか。
算数ができなかったのか。
国は、弁護士会は、一体何をやっていたのか。
マーケットと受け入れ体制を踏まえず、ロースクールの適正定員・人数をきちんと算出しないで安易に進んできた、そんな結果としかいいようがない。
この国策の稚拙さには呆れてしまう。
現状では国家的詐欺と言われてもしかたがない。
法科大学院の構想理念はすばらしいと思う。
その理念のためにも、国は早急に、入口であるロースクールの定員を思い切って減らし、一定期間様子を見ていくことが必要だ。
今就学しているロースクール生・新司法試験の受験生を救うためにも。
そして、将来の法曹界を担う若者をきちんと確保するためにも。
まずはロースクール定員を減らして適正化を。
そのうえで新司法試験合格率の改善を。
現場なんだから、もっと頑張れ日弁連。
※参考として、下記に本日のヤフーニュースを掲載。
法務省は8日、法科大学院の修了者を対象とした6回目の新司法試験の合格者を発表した。合格者数は2063人(男性1585人、女性478人)で昨年より11人減。合格率は23.5%と5回連続で低下し、過去最悪を更新した。政府が02年に閣議決定した「合格者3000人」には今年も届かなかった。
社会人経験者など法学部以外の出身者が多い未修者(3年)コースの合格率は16.2%で、法学部出身者向けの既修者(2年)コースの35.4%の半分以下にとどまった。
受験資格は修了から5年間に3回。未修者コース1期生を含む06年度修了者は、資格を失う今回までに修了者の49.6%に当たる計2188人が合格。未修者に限ると39.5%だった。司法制度改革審議会の意見書(01年)は修了者の7~8割の合格を目標としたが、これを下回った。新試験3回目で不合格になった受験者も1324人に上った。
法科大学院全74校から過去最多の8765人が受験。合格者の最高年齢は60歳で平均年齢は28.5歳だった。出身法科大学院別の合格者は東京大が210人でトップ。以下、中央大176人▽京都大172人▽慶応大164人▽早稲田大138人の順で、上位5校の顔ぶれは昨年と同じ。合格率のトップは一橋大(57.7%)だった。【石川淳一】
【ことば】新司法試験
裁判官、検察官、弁護士の法曹人口拡大を目指して06年に始まった。合格率が2~3%で受験技術偏重と批判のあった旧試験を改め、合格率を引き上げる狙いがある。旧試験は昨年で新規出願受け付けを終了。今年からは法科大学院修了者以外でも合格すれば新司法試験の受験資格を得る予備試験が実施されている。
◇薄れる制度改革の理念
今年の法科大学院の入学者は3620人で、制度初年(04年)の5767人から4割近く減った。中でも社会人経験者は04年の2792人から7割以上減って764人。「幅広い分野の人材を法曹に受け入れる」という司法制度改革の理念は薄れつつある。
「合格者3000人」の政府方針には遠く及ばず、合格率も低迷。高い学費を払って法科大学院を修了しても合格の確証はない。さらに、日本弁護士連合会によると、この秋に就職予定の司法修習生の4割が7月現在で進路未定。合格しても就職難が待ち構える。
企業内弁護士を目指して建設会社を休職し、今回1回目で合格した立教大法科大学院修了の男性(30)は「預金400万円は使い果たした。一発合格できなければあきらめていた」と話した。独協大法科大学院を修了し、3回目で合格した男性(27)は「費用を親に負担してもらった。お金に余裕のある人しか勉強に集中できない」と話し、「弁護士になりたいが、就職難を考えると安心できない」と気を引き締めた。
政府は「質量ともに豊かな法曹の養成を目指す司法制度改革の実現が困難になりかねない」と省庁横断のフォーラムを設置。法科大学院の教育の質向上などを議論している。【石川淳一、山田奈緒】
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